涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


 ◇◇


翌日、文化祭2日目。


佐伯さんがいつ夕凪に告げ口するかと、ハラハラしていたのに、

意外なことに、昨日は何もなかった。



私と上條君を接近させて、ただ面白がっていただけなのだろうか……


夕凪に言われると思っていた私は、

佐伯さんの目的が分からず、首を傾げた。



ホッとしたのも、確かな気持ち。


夕凪との関係に不安要素が持ち込まれないのは、嬉しいことだった。



今朝登校した上條君も、

「昨日のことは無かったことに。
お互いのためにね」

そう言って笑ってくれた。



これで今日は、心から文化祭を楽しめる。

そう思っていた。




午前と午後、2回のお化け役を平和にこなし、14時になる。



お化け役を上がったばかりの私は、

絵の具の血糊がベッタリ付いた腕を、水飲み場で洗っていた。



隣に誰かが立つ。


見上げると、夕凪だった。