涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


「上條と、井戸の中で二人切りって、思った通り危険だったねー」



「まさか…… 最初からそれを狙って……」



「何驚いてるの? 当たり前じゃない。

知ってるよ。井戸の中でイチャついてたこと。

こっそり裏で、聞き耳立てていたんだよ?


さっきの転んだ時もヤバイよね。

朝比奈さんが、上條襲っているように見えたー。

貝原君が知ったら、どう思うかなー?フフッ」




楽しそうに笑いながら、佐伯さんは去って行った。


「電気消すぞー!」


と入口係の声がする。


私も出なくてはいけないのに、立ち尽くしていた。


夕凪とまた心がすれ違うのではないか……

そんな恐怖が心を掠めた。



自分に言い聞かせるように呟いた。



「大丈夫……
夕凪は、私を信じてくれる……」



佐伯さんが何を吹き込んでも、
夕凪が信じるのは私だけ。



「大丈夫だよ、きっと……」



着物の袖をギュッと握りしめる。


心の中で、不安と自信が混在していた。