井戸の中では見えないけど、話し声からすると、
お客さんは男子生徒3人組。
「おっ 井戸じゃん。
お化け出てくるぞー」
「井戸ってことは、アレじゃないか?
一枚〜二枚〜って、皿数える奴。
名前なんだっけ?」
「知らね。聞いてみれば?
おーい幽霊、出てこいよー。
名前教えろー。
あと、3枚目のお札もくれー」
呼ばれても、出られない。
ギュッと抱きしめる上條君は、
私の首筋にそっと唇を当てた。
心臓が壊れそうなほど、大きな音を立てていた。
頭に浮かぶのは、夕凪の顔。
『潮音だけは、信じてる……』
そう言って微笑んでくれる、
大好きな夕凪の顔。
井戸の外では、お客さんが話し続ける。
「何も出てこねーな」
「お化けいねーのに、井戸作ってんじゃねーよ」
「てことは、3枚目のお札は、この先か?
早く行こーぜ!」


