細い通路の向こうから、お客さんの懐中電灯の光りが見えた。
「もう出たい〜」と話す、女子の声も聞こえてきた。
私と上條君は、井戸の中で息を潜める。
「キャア!」
と悲鳴が上がった。
弱いスポットライトに照らされた、この古井戸を見つけたせいだ。
いかにもお化けが出そうな井戸に、お客さんが警戒しながら近付いた時、
私がゆらりと、井戸の中に立ち上がる。
「一枚〜 二枚〜……」
お皿を数えるお決まりの台詞を言って、
精一杯、お菊さんらしく演技してみた。
まだ二枚しか数えていないのに、
女子高生二人組は悲鳴を上げて逃げ出した。
ホッとしていた。
演技に自信はないけど、ちゃんとお菊さんをやれたみたい。


