涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


加奈の中で私達は、ケンカ中ということになっているみたい。


本当はケンカじゃない。

一方的に嫌われてしまっただけなのだけど…



心配そうな加奈に、笑って見せた。


私のことで暗い雰囲気にさせて、申し訳ない気持ちになる。


心は沈んでいても、表に出さないようにと思っていた。




夕凪の周りは、まだ賑やかだ。


女子達がベタベタと夕凪に触る。


甘い声で擦り寄って行く。



見たくないのに、目が追ってしまう。


心でヤメテと叫びながら、ジッと堪えていた。



夕凪はどう思っているのだろう。


やっぱり男の子だから、可愛い女子に囲まれたら嬉しいのかな。



加奈の話しに相槌を打ちながらも、夕凪が気になって仕方なかった。



女子に何をされても無反応だった夕凪が、

我慢できなくなったという雰囲気で、背中に抱き着く女子を引きはがした。



「触んな、ウゼー」

と冷たく言い放つ。