涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


「横並びでしゃがもうとするから、入れないんじゃない?

ほら、上條はこの位置で、朝比奈さんはここにしゃがむ。

ね? 入ったでしょ?」




問答無用で詰め込まれた姿勢に、困ってしまった。


丸い井戸の中、しゃがむ私を上條君が、後ろから抱き抱える格好になっていた。



確かに入ったけど、この体勢で1時間、お化けをやれと言うのか……



「いいよー!
電気消してー!」



佐伯さんの声で、辺りが急に暗くなる。


井戸を下から照らすスポットライトは、井戸の中まで照らさない。


暗闇で、上條君の体温を背中に感じていた。



佐伯さんが井戸の中を覗き込む。


ニヤニヤと楽しそうな口元で、


「文句ばかり言わないで、ちゃんとやりなさいよね!」


と厳しい言葉を言われた。