涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


コースの出口側にある、古井戸に近付いた。


上條君は先に来ている。

彼も私と同じ格好で、
着物はいいとしても、長髪のカツラは可笑しくて笑ってしまう。



上條君も苦笑い。


「サッカー部の奴らに見られたら、ヤダな」

そう言って、恥ずかしそうに笑った。



10時台のお菊さん役の女子が、上條君に言った。



「女子2人でも、井戸の中狭かったー。
上條君、大丈夫?」



上條君が井戸を覗き込む。

私も一緒に覗く。


狭いと分かっていたけど、井戸を目の前にすると、


「やっぱり無理かも……」


2人一緒に、同じ感想を呟いてしまった。



まだ教室が明るい内に、試しに入ってみる。


横並びに井戸に立つことはできた。

でも、並んでしゃがむのは無理みたい。