そう言って、楽しそうに笑う佐伯さんが、
「次、これ縫ってね」
と黒い布を渡してきた。
震える手を伸ばして受け取ると、鋭い刺激を指先に感じた。
「痛っ……」
思わず声を上げて、手を引っ込める。
人差し指からジワリと血が染み出し、指先で球になる。
「ごめ〜ん!針刺したまま渡しちゃった!
しかもそれ、縫わなくていい奴だ!
朝比奈さん、本当ごめんね〜」
血の滲む指先をギュッと握りしめた。
俯いていた顔を、キッと上げる。
クスクス笑う3人をしっかり見据えて、キッパリ言った。
「私が好きなのは、夕凪だけだよ。
小さい頃からずっと夕凪が好き。
これから先も、夕凪だけが好き。
変な悪口は止めてよ。
私は夕凪に飽きたりしないし、浮気もしない。
夕凪との付き合いは、大人になってもずっと続くの」


