涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


ジャキジャキ布を切りながら、
佐伯さんが聞く。



「ねぇ、朝比奈さん。
貝原君と、どこまで行ってるの?」



「…… え?」




私だって、もう高校生。

聞かれた意味が、分からない訳じゃない。


それでも、何と答えていいのか分からなくて、つい聞き返してしまう。



向かいの席で、渡辺さんがクスクス笑っていた。



「分かっているクセに、そうやってごまかすんだ〜。

もうセックスしたの?って聞いているんだけど」




私の手は、完全に止まっていた。


もう少しでメイドカチューシャが縫い終わるのに、針を進められない。


動揺して、顔が火照る。



「したの?してないの?
どっち?」



口ごもる私に詰め寄るように、今度は山下さんが聞いた。


私は俯いて、小さな声で答えた。



「してないよ……」