涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


それは、国内最大級のサーフィン大会。


毎年千葉で開催される
『ビッグウェーブJapanCup』
のこと。



父は高額賞金狙いのプロ部門。

夕凪はアマチュア部門にエントリーしたらしい。



夕凪が驚いた顔を父に向ける。



「出ていいの?
千葉大会は、俺にはまだ早いって……」



父は小さな大会には夕凪を参加させるけど、

大きな大会はまだ早いと、言い続けてきた。


それがやっと、今年許可された。



夕凪の少し伸びた髪を、父がワシワシ乱暴に撫でた。



「最近のお前は、いいよ。
波を見極める力も付いている。
やってみろ」



夕凪は強く頷いた。


バイクを語った時とはまた違う、キラキラと輝いた瞳。


喜びと闘志、自信もあるのが見てとれる。



父がニヤリと笑う。



「出るからには、入賞してくれよ。

お前は俺の、秘蔵っ子と言われているからな。

うちの店がバックアップしてるし、看板に泥を塗らないでくれよ」