涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


 ◇◇◇


9月下旬、

夕凪の髪の毛が、坊主と言われないくらいに伸びた頃。


夜10時を過ぎた遅い時間に、突然夕凪がうちに来た。



お風呂上がりの私は、パジャマ姿で出迎える。


夕凪はバイト帰り。

なぜか興奮した顔をしていた。



「潮音、外来て!
早く、早く!」



手を引かれ、外に出る。

涼しい風が、乾いていない髪をさらう。



急かされて店の駐車場に走って行くと、見慣れないバイクが置いてあった。



「このバイク……夕凪の?」



夕凪は黒いシートをパンと叩いて、

「今日、買ったんだ」
と自慢する。



ガソリンスタンドでのバイト代と、夏休みの海の家でのバイト代をつぎ込み、

中古のバイクを65万円で買ったと言う。



原付ではなく、普通二輪を欲しがっていた夕凪。

目がキラキラ輝いて、本当に嬉しそう。