でも夕凪にとっての“いつもの場所”は、船着場だった。
夕凪のサーフィンを見る時、確かに私はあの場所を好んだ。
小さな頃から二人の遊び場でもあり、
そう言われると、あそこも“いつもの場所”に違いない。
まだ驚きの中にいる私に、夕凪が悲しげに笑いかけた。
「擦れ違っていただけなのに、
潮音が約束破ったと勘違いして……
潮音だけは裏切らないと信じていたから、どうしていいのか分からなくなった。
雨に打たれながら、心臓が握り潰されたみたいに苦しかった。
自分が自分じゃなくなりそうで、怖かった。
潮音を嫌いにならないと、頭が狂いそうだった……」
夕凪は視線を船着場に止めていた。
そこにあの日の自分を見ているのか、苦しそうに顔を歪めた。
私はホッとしていた。
やっと夕凪の心を知ることができた。
私だけは裏切らないと、
そう思ってくれていたことも。


