◇◇
帰りのバスは、いつもより一本遅い時間。
私の目元は赤く、まだ涙の跡が消えていなかった。
いつものバス停で下りて、田舎道をゆっくり歩く。
夕陽が西の空を、真っ赤に染めていた。
野の草も点在する家々も、オレンジ色。
気の早い秋の虫達が、そこかしこで鳴いていた。
家路へと向かう足は、途中でピタリ止まった。
長く伸びる自分の影を、じっと見つめる。
泣いたから、まぶたがヒリヒリする。
こんな顔で帰れば、父と母を心配させてしまいそう。
くるり向きを変え、元来た道を引き返す。
向かった先は、駄菓子の富倉。
富倉の閉店時間は、夕方5時半くらい。
おばちゃんの気分次第で、それより遅くも早くもなる。
もう閉店かも知れないが、駄菓子の富倉に向けて急いだ。


