涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


いつも笑顔の上條君が、眉間にシワを寄せた。


目を細め、夕凪を睨んでいる。



夕凪は反応しない。

視線は雑誌に落としたまま。



上條君は、真っすぐ夕凪の席に歩いて行った。


横に立ち、はっきりと言う。



「貝原、帰んないの?
それって、邪魔してるつもり?」



夕凪は答えない。

答えないけど、バイク雑誌を読むのは止めたみたい。


パタンと閉じて、机の上に置いた。



上條君が、鼻で笑った。



「今頃焦っても、遅いよ。

潮音ちゃんの話しも聞かず、一方的に怒るだけ。

どれだけ泣かせたか、分かってんのか?

今更、後悔して……お前って、馬鹿だよな」




私はハラハラして、二人を見ていた。


怖くて、口を挟めなかった。



突っ掛かるような上條君の言い方に、喧嘩になりそうで不安だったけど、

夕凪は言い返さなかった。


睨み返すこともない。


ただ机の一点を見つめて、ポツリと聞いた。



「お前と潮音……
付き合うことになったのか?」