今朝は、夕凪の波乗りを見に行かなかった。
一晩かけて上條君と付き合うと決めたのに、
また心が揺れてしまいそうな気がしたから。
あえて見に行かなかったのに、こうして夕凪を見ていると、
自然と頭の中に、サーフィン姿を描いてしまう。
プロの父の波乗りより、
私は夕凪のサーフィンが好き。
一途でひたむきで、
父のような力強さと技術がなくても、
とても綺麗に波に乗る。
バイク雑誌を読む夕凪の横顔を、ぼんやりと眺めていた。
耳に、波音が聴こえる。
頭の中には、波しぶきが上がる。
心には……
夕凪が波に乗っていた。
その姿に、恋しさが募る。
ガラリと、教室のドアが開けられた。
入って来たのは、ジャージに着替えた上條君。
「潮音ちゃん、お待たせ!」
そう言った彼は、すぐに夕凪の存在にも気が付いた。


