シャワーを浴びた夕凪は、L字型スクリーンの向こうで着替えていた。
外設の簡単な更衣室は、日焼けと汚れで、スクリーンが茶色に変色している。
そこに夕陽に照らされた、夕凪の美しいシルエットが映っていた。
サーフパンツを脱いで、
体を拭き、ズボンを履いて……
スクリーンを挟んで、夕凪と向かい合う。
これは……“最後の賭け”かも知れない……
着替え中のシルエットに向けて言った。
「夕凪…… 聞いて。
私、上條君に告白されたよ。
付き合ってと言われたの。
明日、始業式に返事をする約束なんだ……」
Tシャツを着ようとしている夕凪のシルエットが、一瞬固まった。
それに勇気づけられ、更に言葉を重ねる。
「まだ返事を決めてないの。
何て言ったら、いいかな……?」
少しでいいから、慌てて欲しかった。
このまま怒っていては私を失うと……
ほんの少しでいいから、そんな風に焦って欲しかった。
本当は嫌いじゃない……
もし、私の望む言葉をくれたなら、上條君の告白を断るから……
だからお願い。
夕凪、私を許して……


