夕凪は止まってくれた。
肩越しに私を見て、答えてくれた。
「海から上がって飲む。
サーフショップの冷蔵庫に入れといて」
「う、うん!」
側には父も母もいない。
二人切りでまともに話してくれたのは、この夏初めてだ。
短い会話でも、嬉しかった。
冷蔵庫に入れてと、頼み事されたのも嬉しかった。
夕凪は海に入って行く。
その背中を笑顔で見送った。
嬉しくなった私は、調子に乗ってしまったかも知れない……――
2時間後、夕凪が海から上がって来た。
サーフショップで待っていた私は、すぐ夕凪に気付く。
夕凪のボードは、うちの店で預かっている。
真水で綺麗に洗い水気を拭いて、
夕凪は店の裏手にボードを陰干ししていた。
そこに近付いて行った。


