上條君が、ザブンと飛び込んだ。
水しぶきが上がり、彼が海面に顔を出す。
その顔がとても楽しそうで、私も楽しくなってきた。
「潮音ちゃんも!」
そう言われ、助走をつけて遠くに飛び込んだ。
体に当たる海水の刺激が、気持ちいい。
海中で目を開けると、輝く青い水に細かな気泡が立ち上り、綺麗だった。
小学生の頃は、夕凪とこうして遊んだ。
ここは二人の遊び場で、
幼い二人の笑顔と笑い声が溢れていた。
海面に浮上せず、私はそのまま泳ぎ出す。
透き通る青い水を、ドルフィンキックで深く深く潜って行く。
眩しい太陽の光が、水の中で揺れている。
海底の白い砂に映る、光りの模様も揺れていた。
色鮮やかな小魚の群れが、私に驚き逃げて行く。
捕まえられるわけないのに、
幼い頃は、夢中で夕凪と追いかけた。


