涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


照れている上條君を見て、初めて水着に恥ずかしさを覚えた。



子供の頃から水着でいるのは当たり前で、

夕凪の前でも、誰の前でも、平気で水着になっていた。



水着って… 恥ずかしいのかも知れない…


それが、上條君に気付かされたことだった。



急にモジモジし出す私を見て、上條君が慌ててフォローした。



「変なこと言って、ゴメン!

今の、忘れて。海で水着は当たり前だよな。

潮音ちゃんと遊びたいんだ。
目一杯、楽しもう!」




ニッコリ笑う彼につられ、私も笑った。



「あそこから飛ぼう」
と上條君は指を差す。


それは船着場の中間くらい。



「もっと奥の方が、高さがあって面白いよ」


そう言うと、驚かれた。



「意外と冒険心あるんだね。
いいよ、そうこなくちゃ!」



冒険心ではなく、経験上奥の方が楽しいと知っている。


小さな頃は、よく夕凪と飛び込んで遊んだから…