涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


長細く沖に突き出たコンクリートは、早朝の私の特等席だけど、

日中はこうして、混み合ってしまう。



上條君が人を縫って、船着き場を奥に進む。

私もそれに付いて行った。



スペースのある場所で立ち止まり、上條君が聞く。



「潮音ちゃん、地元っ子だから泳げるよね?」



「うん」



「俺も泳ぎは、自信あるよ。
ここから飛び込んで、泳ごうか」




上條君は着ているTシャツを脱いで、コンクリートに置いた。


私もTシャツとショートパンツを脱いで、水着になる。



白地に水玉のセパレート。

持っている物はスポーティなタイプが多いけど、

今日の水着はフリルが付いて女の子っぽい。



水着になった私を見て、上條君がゴクリと唾を飲んだ。



「どうしたの?」
と聞くと、

赤い顔で、目を逸らす。



「ビキニなんだ…

似合っているし可愛いけど…
目のやり場に困る…」