涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


ボードを抱えて戻ってきた夕凪に、クラスメイト達が駆け寄って行く。



私はその輪に混ざれない。



浜辺でサーフィンの基礎を教えている夕凪を、離れた位置から見つめ、

小さく溜息をついた。



私の手を、誰かがそっと握った。



「上條君…」



彼はクラスメイトの輪から外れ、私の横にいてくれる。


彼が言う。



「二人で海入ろ?あっちはあっちで、楽しくやればいいよ。

折角お姉さんに貰った自由時間だから、遊ぼうよ!」




手を引かれ、走る上條君に付いて行く。


気付いたクラスメイト達がはやし立てるから、恥ずかしかった。



「あそこ、面白そう!」



上條君が指差したのは、船着き場のコンクリート。


彼氏のサーフィンを見ているのか、

派手目のお姉さんが、沖に向け手を振っていた。



その手前では、中学生の男の子達が、楽しそうに飛び込みしている。



奥の方には釣り客の姿も。

釣れないみたいで、竿を置き昼寝していた。