涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


母を見て、上條君が言った。



「潮音ちゃんに、お姉さんいたんだ。

美人な大人の女性って感じだね。

潮音ちゃんも大人になったら、ああなるのかな?」



それには返事をしないで、笑って聞き流した。



母も父も、38歳。

皆の両親より、きっと若いと思う。



母は昔、サーファーギャルで、派手好きだった。


今でも若作りに余念なく、見た目もギャルの名残がある。



父も母も、実年齢より若く見えるから、姉と思われても仕方ない。



姉と言われたことを私はスルーしたけど、

軽食を売りさばいている母が、しっかり聞き取ってしまった。



焼鳥片手にやってきて、上條君の肩に腕を回した。



「褒め上手ないい子ね〜
潮音の友達?」



「う、うん。
クラスメイトの上條君だよ」



「上條!あんた、いい目をしてるね。

私はかなり美人だけど、潮音も可愛いでしょ?

うちの子、内気で友達作るの下手だから、仲良くしてやってね」