涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


驚く私に、上條君が言う。



「海に行こうと誘ったら、こんなに集まった。

潮音ちゃんが働いている姿、見たかったんだ。

私服姿も初めて。めっちゃ可愛い…」



上條君はいつもストレートに褒めてくれる。


可愛いと言われ、途端に顔が赤くなる。


私服姿と言っても、水着にお店のTシャツとショートパンツだけど、

褒められると恥ずかしくて、ちょっぴり嬉しくなる。



上條君以外のクラスメイト達は、夕凪に声をかけていた。


団体で来た皆に、夕凪も驚いていた。



男子の一人が言う。



「貝原、暇な時間ねーの?
サーフィン、教えろよ!」



暇な時間は、きっとない。

夕暮れまで待ってくれるなら、別だけど。



「多分、無理」と答える夕凪に、クラスの男子は残念そう。



母が忙しそうに動きながら、口を挟んだ。



「夕凪も潮音も、今日は3時まででいいよ。

友達来てるなら、遊びな」