11時になる。
白い砂浜には、シートやビーチパラソルがびっしり立ち並び、
うちを含め4軒の海の家は、賑やかに繁盛していた。
波打ぎわで楽しそうにはしゃぐ、小さな子供が可愛らしい。
波の中、ビーチボールで遊ぶ若者達に、
砂浜でゆったりくつろぐ大人達。
毎年繰り返される情景の中で、
私もいつものように働いている。
店先で氷水に付けたペットボトルのジュースを売っていると、
「潮音ちゃん!」
と聞き慣れた声がした。
「え?上條君?」
私の前に立ち、笑顔を見せるのは、
海水パンツとTシャツ姿の上條君だった。
彼だけではない。
男女合わせて20人ものクラスメイトが、ビーチに遊びに来ていた。


