私の涙が、夕凪の肩を濡らしていた。
「夕凪… 大好き…」
苦しい想いが溢れ、口に出てしまう。
大好き…
その言葉を言わなければ良かったと、すぐに後悔した。
夕凪は数秒沈黙し、
それから冷たい声で言った。
「勘違いしてんじゃねーよ…
怪我したお前を放置したら、ケンさんに悪いだろ。
それだけだ。
俺は…お前を許してねぇから。
潮音は嫌い。これから先もずっと」
「… どうしたら許してもらえるの?
夕凪… ごめんなさい…ごめんなさい…」
悲しくて、苦しくて、
涙が止まらない。
謝りながら、夕凪の肩を濡らし続けた。
夕凪は答えをくれなかった。
何も言わず、校舎に入り、
保健室まで運んでくれただけだった。
私をベッドに下ろすと、背を向ける。
出て行こうとする夕凪に、保健の先生が聞いた。
「この子が着ているTシャツ、どうする?君のでしょ?」
説明しなくても、分かったみたい。
私が着ているTシャツは、ブカブカだから。
夕凪は振り返らずに「いらない」と言った。
教室に制服あるからと…
上半身裸のまま、保健室を出て行った。
―――――…