遠巻きに見ている私に、加奈が言う。
「貝原君に、話しかけに行きなよ!」
それには首を横に振った。
折角クラスメイトの中に入れたのに、
私が行くと、雰囲気を壊してしまいそう。
離れた場所で夕凪を見つめ、涙を手で拭った。
後続の走者達も、次々とゴールしていた。
上條君が起き上がるのが、視界の端に映った。
立ち上がった彼の呼吸は、もう落ち着いていた。
さすがサッカー部で、毎日走り込んでいるだけある。
上條君は夕凪から離れ、一人歩きだした。
校舎の方へ向かおうとしているみたい。
私は、その後を追った。
校舎の日陰を歩く背中に、声をかけた。
「上條君! あ、あの…」


