景色が涙で、にじんで見えた。
後、50メートル…
必死の夕凪に、胸が熱くなり、
張り裂けそうになる。
気付けば、泣きながら叫んでいた。
「夕凪ーっ!頑張ってー!
夕凪ーっ!夕凪ーーっ!!」
何度も、彼の名前を叫んだ。
二人の均衡が崩れた。
夕凪が歯を食いしばる。
最後の力を振り絞り、上條君の横に肩を並べた。
「夕凪っ!もう少し!
夕凪ーっ!!」
自分がこんなに大声を出せると思わなかった。
隣にいる加奈が、驚いていた。
恥ずかしさは感じない。
夕凪の走りに夢中で、恥ずかしがる余裕すらなかった。
夕凪の名前を呼び続ける。
二人は肩を並べたまま、残り10メートルを切った。
「夕凪っ!
お願い!勝って!!」
その声が届いたのか…
夕凪がわずかに前に出た。
体半分リードして、先にゴールテープを切った。


