2人きり……。
意識した途端、急に緊張して、ドキドキしてきた。
気を紛らわそうと、問題に集中しようとするけど、
「えっ…!」
「わっ…!ビックリした」
ビックリしたのはこっちだよ……。
だって、本を手にした四ノ宮くんは、私の隣に座ったんだから。
何故?
他にも空いてる席はあるのに。
いろんな疑問を浮かべながら四ノ宮くんを見てると、
「あ、ここ…座らない方がよかった?」
と、眉を下げた申し訳なさそうな顔で聞いてきた。
「ううん、そういうわけじゃないけど……」
「そっか。よかった!」
何でこの人は私に関わってくるんだろう?
不思議な人。
「ねぇ」
しばらくしてパタン、と本を閉じる音が聞こえてきたと思ったら、声をかけられた。
「な、何?」
「河瀬さんもここ、よく来るの?」
「…ううん。たまにだよ」
「僕はよく来るんだ。……人気がなくて、落ち着くから」
なんか、意外だ。
「四ノ宮くんって、放課後は友達とばか騒ぎしてるんだと思った…」
「凄いイメージだね」
四ノ宮くんは、無邪気に笑った。
その笑顔を見て、私の心臓は、うるさく高鳴るばかりだった。

