放課後、本来なら真っ直ぐ家に帰らないといけないんだろうけど……。
(……帰りたくない)
という気持ちが強く私の中を過った。
「図書室、行こう……」
カバンを持って、教室を出た。
確か今日も兄の帰りは早いはず。
真っ直ぐ家に帰っても、また兄に罵られるだけ。
だから図書室で少し勉強して帰る事にした。
図書室は基本的に誰もいないから、何気に穴場だったりする。
―ガラッ
「やっぱ誰もいない……」
図書室は案の定ガラガラ。
換気のため窓を開けて、1番隅の席に座った。
問題集を広げて、静かな空間の中、黙々と問題を解いた。
それからしばらくしてからだった。
―ガラッ
図書室のドアが急に開いたのは。
少しビックリしてドアの方を見ると、
「えっ、四ノ宮くん…?」
そこに立っていたのは四ノ宮くんだった。
「あ、河瀬さん」
可愛らしい、人懐っこい笑顔を浮かべて、こっちに駆け寄ってきた。
「勉強してるの?」
「うん」
「そっか。僕は本を借りに来たんだ」
「そ、そう……」
再び視線を問題集に戻した。
あっさり途切れた会話。
考えてみたら、彼とこうして2人きりになるの、初めてだ……。

