キミとひとつになれたら





学校では、休み時間もずっと勉強。


これ以上成績が下がったら、殴られるどころじゃ済まない気がする。



休み時間も勉強ばかりしてるため、私に友達は……いない。


むしろ、




「見て。河瀬さん、また勉強してるよ」


「勉強しか楽しみないんじゃない?可哀想〜」



嫌でも聞こえてくる、嫌味のような声。


多分私は、クラスで孤立してる部類の人間に入るんだと思う。



別に勉強が楽しみなんじゃない。


渋々してるだけ。




「あっ…」


手が当たって、消しゴムが床に落ちた。


拾おうと手を伸ばしたら、




「はい」


私が拾うよりも先に拾われ、そっと机の上に置かれた。



「ありがとう……」


「河瀬さん、いつも勉強頑張ってて、偉いね」


「そ、そうかな…?」


「なんか難しそうなのやってるね。本当に凄いな。マジ尊敬するな」



今、私にフレンドリーに話しかけてきてるのは、




「大袈裟だよ、四ノ宮くん」


四ノ宮冬真(しのみやとうま)くん。


うちのクラスの学級委員長で、みんなから信頼されてて何気にいつも中心にいる人。




「おーい、冬真!」


ほら、こうしてる間にも彼は友達に呼ばれた。



「あ、今行く。じゃあね、河瀬さん」


颯爽と彼は友達の所に行ってしまった。



四ノ宮くんはどういうわけか、私によく話しかけてくる。



朝、登校したらあいさつをしてきてくれて、帰る時にはさり気なくバイバイって言ってくれる。




何で私に声をかけてくるのか、理由はわからない。



だけど私は、嬉しかったりする。


ほんの少しでも、話しかけてきてくれる事が。




四ノ宮くん。
私とは正反対の人。
……密かに憧れてる人。