「でも、もうそれも終わり。これからは辛かったら、我慢しなくていいよ」
ふいに肩を掴まれ、クルリと体の向きを変えられ、彼と向き合う形になった。
「僕が全部、受け止めてあげる。河瀬さんの…全部」
「……」
「辛い時は、頼ってね?……小春ちゃん」
「っ……」
ストレートだ。
すごく……真っ直ぐ過ぎる。
真っ直ぐ過ぎて、逆に怖いくらい。
「あ、小春ちゃんって呼んでも大丈夫だった?」
「う、うん……」
でも…彼の目は、すごく…綺麗だった。
濁ってない、嘘偽りがないような目。
彼の眼差し、表情はとても穏やかで、まるで包み込むみたい。
「とにかく悩みがあったら、相談ね。どんな些細な事でも、頼ってほしいな」
ニコッと、彼は笑った。
その笑顔は
何の穢れもない、
無垢のような笑顔に見えた。