シャワーを浴び終わって、廊下に出ると、リビングとおぼしき場所から、四ノ宮くんが顔を覗かせた。
「朝ご飯、食べようか。おいで」
手招きされ、リビングへ。
リビングは、テレビにソファーに大きなダイニングテーブル。
シンプル、というよりは、殺風景。
「はい、たくさん食べてね」
私の前に置かれたのは、生クリームやフルーツが綺麗にトッピングされてるホットケーキ。
朝から、こんなに凝った物を。
「どう?おいしい?」
「うん…。すごく…」
「そっか。よかった!」
こんなに優雅な朝は久々。
そもそも、人が作ってくれた物を食べる事自体が久しぶり。
「河瀬さん」
「っ……」
四ノ宮くんの指が、私の唇に触れた。
ビクンと反応する体。
「クリーム、付いてたよ?」
「……」
今、私に向けられてる笑顔は、何の汚れもないような、純粋な綺麗な笑顔だった。
「学校、一緒に行こうよ。せっかくだから」
「……うん…」
この人といたら、変わるかもしれない。
私の、真っ暗だった世界を
変えてくれるかもしれない……。
なんとなく、心の片隅で、そう思ってしまった。