「そ、それ……」
「あぁ。驚く事ないよ。たいした怪我じゃない」
彼はいつもと同じく冷静。
怪我した事を、何とも思ってないみたいだ。
「手当て、した方がいいよ」
「平気だよ。心配しないで」
「平気じゃない。救急箱、どこにあるの……?」
彼は「ベットの下に…」とポツリと呟いた。
ベットの下を除いてみると、確かに救急箱が置いてあった。
「ここに、座って」
脱脂綿に消毒液を染み込ませて、丁寧に傷を消毒して、大きめの絆創膏を貼った。
「綺麗な顔なんだから……傷跡が残ったら大変」
皮肉じゃなく、本心だった。