彼の部屋は、とてもシンプルだった。
物が少なく、部屋にあるのは机とベットと本棚。
「ベットに座ってて。お茶持ってくるから」
バタンと閉められたドア。
私は立ち尽くすしかなかった。
物は少ないのに、妙に広い部屋。
何か落ち着かない。
部屋の中をキョロキョロしてると、ふとあるものに目が留まった。
「……ドア…?」
部屋には、入り口の他にもう1つドアが本棚の横にあった。
隣の部屋に続くドアかな?
私は好奇心で、そのドアに近づいて、何気なくドアノブを握った。
「……何してるの?」
「っ……!!」
ビクッと跳ねた体。
いつの間に、そこに……。
振り向くと、無表情の四ノ宮くんが立ってた。
「ベットに座っててって言ったのに……、気になったの?」
「別に……」
それだけ言って、ベットに座った。
「プライバシーの侵害は、ダメだよ。はい、ココアでよかったよね」
カップを渡され、熱々のココアを一口飲んだ。