なのに、彼の腕に包まれて、安心してるのも事実。
彼は狂ってる。
でも、それはお互い様。
私もきっと……狂った人間なんだ。
そう思いながら、彼の背中に腕を回した。
「四ノ宮くん……」
「ん?」
「この事は、誰にも言わない。絶対に誰にも言わないからね……」
あぁ、何言ってんだろ。
これで私も共犯者だ。
「ありがとう。2人だけの秘密ね」
この事が表ざたになれば、彼は捕まる。
そうなれば、私は独りぼっち。
やっと見つけた居場所。
怖かったのかもしれない。
安らげる居場所を失うのが、独りぼっちになる事が。