確かに私は彼に…手を差し伸べた……。



でも、あれは……きっと、ただの同情。





雨の中、道端に座り込んで動かない彼を見てたら、ほっとけなかった。



あの時の彼の姿が何となく、自分と重なった気がして……。






私だって、兄に殴られて、その後に雨が降ってるのに、無理矢理外に放り出された事があった。



だから無視できなかった。
ただ、それだけ……。





「たった…それだけの事で……好きに、なるの……?」



恋愛って、そこまで単純なの?







「……馬鹿だね」



私の手を離して、四ノ宮くんがゆっくり体を起こした。






「好きになるキッカケは、些細な事。たったそれだけの事で僕は……」



四ノ宮くんは、私に覆いかぶさって、必要以上に顔を近づけてきた。






「好きになったんだよ。小春ちゃん……」