病院だからか?電波が悪いみたいだ。


あたしは、何か言っているだろうタクの言葉を聞きとるため、階段を上がった。上に行きゃぁ何とかなるだろ、っと特に深く考えず昇って踊り場まで来たが、まだ電波の調子が良くない。


タクの声が途切れ途切れで聞きとり辛い。


「ああ、もぉ!」


と若干苛々しながら、上がるとF2と言う表示が出てきて、昇り切るとようやく


『もしもし!お嬢!!いかがされやした!?』


とタクの怒鳴り声が聞こえてきて、あたしは思わずケータイを耳から遠ざけ、耳を押さえてしかめっつら。


「大丈夫だ。電波が悪りぃみたい。怪我ても大したことねぇから、今マサが会計してくれてるとこ。出るときまた電話するから…」


と言いかけたところ


『お嬢!俺っすイチっす!』


何だよ、今度は壱衣か。


『どうされたんでぃ!出入りですか!応援必要ッスか!』


心配してくれるのはありがてぇけどよ……心配の方向違ってね?


「あー違う違う。出入りとかじゃなくて、ちょっと転んだだけだから」


と説明すると、壱衣は分かりやすくため息を吐いた。


やっぱ心配してくれてるんだよね、これって。