ワーワーと大騒ぎになる体育館から離れ、裏庭であたしの腕を離した海星君。


「海星君、ごめん。あたしがミスじゃ……不満だったよね……。どうしてあたしなんかが選ばれたんだろう」


彼は黙ってポケットから取り出したタバコに火をつけて、勢いよく吸い込んだ。


息を吐くと、白い煙が口からふわふわと空に昇って行く。


うわぁぁ……ヤバい。カッコよすぎ!


海星君がタバコを吸う姿を見て、カッコよすぎて胸を震わせてしまうあたし。


海星君の姿に目を奪われ、あたしは身動き一つとれなかった。


「あのさ、今から取り消しってできるかな?」


嬉しかった。本当は、ベストカップル賞に選ばれて、嬉しかった。


だけど、海星君にとっては迷惑でしかないはず。


困ったように頬をかくと、海星君は顔色一つ変えずにこう言い放った。