彼氏に思いっきり殴られて、アタシは部屋のドアから大きなベッドまでぶっ飛んだ。


下が柔らかくてよかった。


これがコンクリートだったら確実に頭から大流血だ。


「なに、すんのよ!!」


イライラして、彼氏である嵐山功‐アラシヤマ コウ‐を、にらみつける。


功ちゃんはなぜか半泣き状態で、ギリギリと奥歯をかみ締めている。


功ちゃんは顔がいい。


アイドルにもなれそうなほど整った輪郭に、シャープな鼻筋。


功ちゃんの通っている高校ではファンクラブも健在。


でも、飽きた。


「もういい、別れよ」


「なんでだよ! そういうのって、浮気された俺のほうが決めるもんじゃねぇの?」