‡〜黒き訪問者〜‡
不可思議な体験をした日の夜は、中々寝付けないものだ。
いくら明日の朝が早くても、どれだけ睡眠時間が短くなると分かっていても。
自分ではどうすることもできない。
その上、今日は満月。
窓際のベッドで眠る者にとっては、遮光カーテンでもひいていなければ、月明かりが眩し過ぎる。
「っ???」
無理に閉じていた瞼に、ふと月が陰ったように感じた。
反射的に起き上がって目を向けると、そこには人影のように感じられるものがあった。
この時の人間の反応パターンは二つある。
一つは、恐怖のあまり動けなくなってしまうパターン。
二つ目は、ベッドから飛び出して窓から距離をとり、助けを呼ぶパターン。
しかし美南都には、そのどちらのパターンも該当しない。
ベッドの上で、いつでも対応できる姿勢を瞬時に整えると、カーテンを勢いよく開け、窓を乱暴にこじ開けた。
「誰だ!」
激しく叩きつけるように放つ声に、影の主は少し体を揺らす。
「何の用だ?!」
二度目の推何の声に動じることもなく、何者かはゆっくりと姿勢を立て直す。
次の瞬間、何かがこちらに目掛けて飛来した。
とっさに身体を傾け避けると、耳元で風を切るような音がかすめた。
トンッと避けた物が軽い音をさせて止まる。
いや、刺さった。
視界の端で捉らえたそれは、月光できらりと光る。
確認する為に反射的に首をひねろうとしたその時、またもや光る物が放たれた。
避けざまベッドから飛び降り、距離を取り体勢を整える。
二度目の足下に刺さったそれは、細いナイフだった。
「っ…昨今、殺し屋などは流行らないでしょうにっ…」
不可思議な体験をした日の夜は、中々寝付けないものだ。
いくら明日の朝が早くても、どれだけ睡眠時間が短くなると分かっていても。
自分ではどうすることもできない。
その上、今日は満月。
窓際のベッドで眠る者にとっては、遮光カーテンでもひいていなければ、月明かりが眩し過ぎる。
「っ???」
無理に閉じていた瞼に、ふと月が陰ったように感じた。
反射的に起き上がって目を向けると、そこには人影のように感じられるものがあった。
この時の人間の反応パターンは二つある。
一つは、恐怖のあまり動けなくなってしまうパターン。
二つ目は、ベッドから飛び出して窓から距離をとり、助けを呼ぶパターン。
しかし美南都には、そのどちらのパターンも該当しない。
ベッドの上で、いつでも対応できる姿勢を瞬時に整えると、カーテンを勢いよく開け、窓を乱暴にこじ開けた。
「誰だ!」
激しく叩きつけるように放つ声に、影の主は少し体を揺らす。
「何の用だ?!」
二度目の推何の声に動じることもなく、何者かはゆっくりと姿勢を立て直す。
次の瞬間、何かがこちらに目掛けて飛来した。
とっさに身体を傾け避けると、耳元で風を切るような音がかすめた。
トンッと避けた物が軽い音をさせて止まる。
いや、刺さった。
視界の端で捉らえたそれは、月光できらりと光る。
確認する為に反射的に首をひねろうとしたその時、またもや光る物が放たれた。
避けざまベッドから飛び降り、距離を取り体勢を整える。
二度目の足下に刺さったそれは、細いナイフだった。
「っ…昨今、殺し屋などは流行らないでしょうにっ…」