‡〜過去の戦場〜‡

(うおぉぉぉぉ!!)

(きゃぁぁぁぁぁぁぁ!)

(いやぁぁぁ!!)

数え切れない程の人々の悲鳴。
炎に覆われた村。
そこここに打ち捨てられた遺体。
赤黒く大地を汚していく夥しい量の血。

(うえぇぇぇん)

(がぁぁぁぁっ!!)

泣き叫ぶ子どもの声。
絶命寸前の叫び。

「殺せぇぇぇ。
この地は私の物だぁ!!」

その手には閃き、惨殺する青き刀。
しかし、放つ光りは血のように赤い。

「ふははっ。
素晴らしいっ。
素晴らしいぞっこの刀っ」

狂気に満ちた表情。
恍惚の光りを宿す瞳。
まるで、虫を払うように逃げ惑う人々を切り捨てる。
命を奪う度に、刀は脈打つように青い光を放つ。

「やはりッ。
私にこそ相応しいッ」

光は一層赤を帯び、その青い光をも消して行く。

「…っ美しい…」

魅せられるように刀を見つめるその目には、狂喜しかみられない。

「これで…千人目だっ!!」

(うぎゃぁぁぁぁっ!!)

「ひははははっ」

強く脈打った刀は、一段と強い赤を放った。

〈うひゃはははっ〉

狂ったように笑い出す。

〈へへへひゃひゃっ〉

意識は完全に乗っ取られてしまった。
狂った人形のような男。
一層、殺戮に酔いしれる。
しかし、それは唐突に止んだ。