「12時までだよ」

「ふーん…ならあとで合流して回ろうぜ」

「っ!」


飲み物を飲んでる手が止まる。






「え…一緒に回ってくれるの?」

「くれるのって…なんだよそれ」

「う、ううん!ごめん変だよね」


ハハハと笑って誤魔化し、制服のポケットに入れていた文化祭のパンフレットを出した。




「陽葵はどこ行きたい?私はクレープ食べたいかも~」


私のパンフレットの覗き込む香穂。



「いいね、あとで行こう♪私はこのチュロス行きたいな~」

「いいねいいね♪私も行きたい!しかも色んな味あるよ」

「そうなの!特にメープル味が食べたくて」

「私は抹茶かなぁ~あとで行こうね」

「うん!てゆうか、私たち食い気しかないね」

「ハハハ」


香穂と笑っていると、リーダーが野菜を抱えて戻ってきた。





「俺ら屋台に顔出してくるから、終わったら合流しようぜ」

「連絡して」

「うん、わかった!」

「じゃあ、あとで」


稲瀬と永井が調理室から出ていく。

私は飲み物をしまい、ワイシャツの袖をくいっとまくった。





「これ追加の野菜ね!よろしく」

「はいっっ!」


リーダーが机の上に置いた野菜を、スピーディーに切っていく私。




この仕事が終われば、稲瀬と行動できるんだ!

そう思うと、係の仕事がはかどった。


稲瀬と一緒にいられるなんて、超幸せ!

今日はいい日だな♡





このあと私に、もっと幸せなことが起るなんて夢にも思っていなかった…


幸せまでのカウントダウンが…

ゆっくりと動き始める…