ガラガラ…



「おーやってるやってる♪」





調理室の入り口から、聞き覚えのある声が…

目をやると…








浴衣姿の稲瀬と永井が、こっちに向かって歩いてくる。

永井は私たちを見て、ニヤニヤ笑っていた。





「地味だなぁ、お前ら」


永井は、私たちが使っているテーブルにドカっと座った。




「食べ物のそばに座るな!」

「んだよ、小うるせえな」


しっしっと永井を追いやりながら、ちらっとそばにいる稲瀬を見る。


紺色の浴衣に黒い帯をしめて、胸元が少しはだけている稲瀬…



か、かっこいい…

写メ撮りたい!


後ろ姿だけでいいから、写メ撮りたいっっっ





「どうして浴衣着てるの?」


香穂が手を動かしながら、永井に聞いた。





「んーなんか突然売り子やってくれとか言って、クラスの女子が貸してくれた」

「そうなの?でも2人は、買い出し係でしょ?」


首を傾げる香穂。





「知らねえ。俺らはただ貸してくれたから着ただけだよ。売り子つっても、好きな時に来て適当に呼び込みやってくれってさ…な?悠?」

「…そーゆうこと」


なるほど。

目立つ2人に呼び込みさせて、焼きそばを少しでも多く買ってもらおうってことか…


確かに2人とも浴衣を着たことで、さらに目立ってる…


永井だってチャラさは消えてないけど、やっぱりすごい似合ってるし、

稲瀬は…




切り終えた人参をボールに入れながら、数秒間稲瀬を見つめる。






う~

カッコ良すぎ~~~~~~~~~♥♥♥♥


永井より、100倍似合ってる~♡





「2人共ちょっと休憩していいよ。私…冷蔵庫から野菜追加で持ってくるね」


リーダーが私たちにウィンクをして、小走りでその場を離れた。




「ありがとう!」


私と香穂は切りのいいところで手を休め、さっき買った飲み物を開けた。





「あーおいし!」

「喉かわいてたもんね~」

「お前ら、これ何時までやんの?」




すると、稲瀬が私たちが切った野菜を指さして言った。