俺は、二度目で切れたお陰で主将としての面目が保てた。


何故切れないかは、剣道と実戦では刀の使い方が違っていたからだ。


剣道では、打った後に必ず竹刀を絞る。


打って止めるのだ。


銅を打つ時だけは、それをしないが、面や小手突きでも絞るのだ。


しかし、実戦で切ろうと思えば絞っては駄目なのだ。


押しきる、絞らずに押してそのまま切り落とす感じだ。


その感覚が分かれば少々の太い木でも切れる。


俺は、何度も切って見せたが部員のほとんどがなかなか切れなかった。


元々この高校の剣道部は、弱かった。


ほとんどの部員が高校から半分暇潰しで入って来ていた。


俺は、小学生の時からやっていた為に最初こんなに弱いのかと驚いた。


一年の時に三年生で俺とまともな勝負が出来たのは一人だけだった。


俺が卒業した中学は、レベルが高く県大会で優勝するのは当たり前で全国大会でもそこそこ行っていた。