空音を奏でる宙

何も言い返せない。

あなたはピアノから逃げているだけでしょう?

勝手な想像だがそう言われている気がした。

「じゃあ、璃織のことよろしくね、遊佐。」
またもや僕を呼び捨てにして大家は去っていった。
何げに璃織のことも呼び捨てだった。

「クソっ……!」

部屋には聞こえるか聞こえないほどの僕の小さな叫びが響いた。
璃織の反応はもちろんなかった。