空音を奏でる宙

大家は根拠はないけどねといたずらっぽく付け足した。
拒否権を行使するタイミングは一つも与えられなかった。

(僕に何ができるというんだ……!)

それでも本気で嫌な気分にならないのは自分が期待されているからなのだろうか。
期待されるということがここ最近はあまりなかったので少し嬉しいという感情が大きかった。

僕はゆっくりと首を縦に振る。
「分かっているとは思いますけどいくらなんでも無理なことがあったら考え直してくださいね。」
大家は安心したようにクスッと笑う。
「約束するわ、ありがとう。」
そう言って大家は僕の部屋から立ち去ろうとする。