空音を奏でる宙

顔も整った顔立ちをしていていわゆる美人──

そこで僕は止まった。
そこで見たのには深く、重々しく、痛々しい感情のようなものを覚えた。

千歳 璃織の目は死んでいた。

光を失った紫がかった目は普通の目よりも暗い印象がある。
何も見ていない、何も見ようとしていない、言葉通りの意味をもつ目がそこにはあった。
璃織の目の前で物を動かしてもその目はそれを追おうとはしない。
生きている証拠となったのはほぼ一定のリズムでゆっくりとするまばたきくらいだろう。

「いわゆる植物状態っていうわけでもないんですよね?」
「ええ、この子は意識もあるし、眠ったり、息をしたり、話さない以外は生命活動に必要なことは全て問題なく機能している。ただ──」