空音を奏でる宙

すると大家は目線を逸らした。
その先にあるのはもちろん僕ではなく、千歳 璃織という名の少女のほうだ。

「違うわ……もっと別次元な理由よ。」

口を開く大家の顔は少し沈んでいてさっきまでの態度とは全然違う。
百歩譲ってもこの人らしいとはいえなかった。

僕も少女を見やる。
車椅子に乗っているので詳しくは分からないがおそらく身長は百五十センチ半ばほど。
体重は身長を考えてもかなり軽そうだ。
袖から見える腕は細く、肌は陶器のように白い。
車椅子に乗っている姿は儚げで少し触れただけでも壊れてしまいそうな繊細なガラス細工のようだ。
肩のあたりまで伸びた白い髪は海でに反射した光に当てられてキラキラと輝いている。