レッドの休日が終わって、皆が忙しい平日になった。

レッドは実家からの通勤を始めた。


「やや実家からだと遠いけど、やっぱり母さんの朝ごはんと妹たちに見送られるのはいいもんだな。
ちょっと残念なのは、エリンがもう出かけてたことだけど・・・まぁ、社長ともなれば早出も仕方ないんだろうな。
だけど、よく社長だから朝も夜もないんだ・・・っていうヤツよりは健全な会社だよな。
朝は早く!で、とくに用事がなけりゃ、定時で帰ってよしなんてな。」


レッドがガオンティル社に出社すると、早速営業部の社員たちがレッドを取り囲むようにして、朝の会議に入る。
その日の予定を確認して、それぞれ持ち場へと散らばっていった。


「部長、じつは今夜なのですが・・・」


「今夜って何かあったか?」


「スケジュールにはなかったんですが、近隣のレルトナ王国の皇太子が国内でとても変わった模様のある陶磁器を数多く発掘されたということで、ちょっとした展示会をされることになったそうなんです。

それで急きょ、物が物ですので業界の企業はみんなその展示会とパーティーに出席されることになったんです。」


「それで?社長か役員の誰かが行くだろ。」


「それが・・・役員がみんな主張なので、現在動ける方といえばあなたくらいで・・・・。」


「ぬぁにぃーーーー!なんで、俺が・・・。
いや、百歩譲って展示会を見に行ってこいはまあいいとしてもだ、パーティーなんて俺は嫌いだぞ。」


「しかし、我が社は現在役員総出で金策に出ていることが多いので、部長に出てもらうしかないんです。
総務部長は先日のパーティーに出ていただいたとこですし、人事部長は定年近くて踊れませんし、順番からしたらえ~と・・・」


「わかった、わかったから。行けばいいんだろ。
しょうがない・・・我が社のピンチは誰かがなんとかしないとな。
俺が行って来るよ。

ところで、ドネリティ社からは誰が来る予定になってる?」



「え~と・・ドネリティ社は・・・ああ、社長自ら出席されますね。
なんか、レルトナ王国のユナ皇太子のご指名らしいですね。

もしかしたら・・・皇太子は独身ですし、そっちが目的なのかもしれません。」



「なっ・・・なんて野郎だ。それじゃ、出土品なんてどうだっていいってことだろうが・・・。」



「あくまでも噂にしかすぎませんけどね。
まぁ、とにかくメイタス部長も役目を果たしてきてください。」


「役目ねぇ・・・。」


「メイタス部長も独身なんですし、ドネリティ社長と踊っていい情報をとってきてくだされば社員は万々歳じゃないですか。
噂ですけど、ドネリティ社長って25才の才女らしいですよ。
先代が亡くなって後をついだばかりですし、同類企業の独身族は秘かに狙っているってききます。

ですから・・・あなたもその中に入ってくれればですねぇ・・・」


「お、おい・・・まさか、それで俺?
俺はそういう後継ぎ女はちょっとなぁ・・・。
技量には興味あるけど、パーティーは嫌いなんだ。」


「まぁ、今回は参加するってだけでもお願いしますよ。」


「わかったよ・・・。」