エリンはそれをきいて安心したようで、レッドの胸へと倒れこんでしまった。


「ご、ごめんなさい。
力が・・・力が入らなくて。
私、どうなっちゃったんだろう。」


「今夜はとにかく眠るんだ。
新作は出していたが、緊張の連続だったんだろう?」


「レッド、ずっとそばに居て。」


「あ、ああ。
さ、ゆっくり眠るといい。
腕のたたかれたところには薬を塗っておくからさ。」


「レッド・・・す・・・き。」


「エリン。
はぁ・・・残酷な命令してくれるなよ。

こんなに密着してるんだぞ。
しかも、俺は君が欲しくて仕方がないのに・・・好きだなんて言われて。
だめだ、紳士になんかなれるわけない!

ああ、いい匂いがする。
キスくらいいいよな。」




翌朝、エリンの悲鳴から1日が始まった。


「きゃぁあああああ!な、ぬぁにこれぇーーー!」


エリンが自分の姿を鏡で見た途端叫んでいた。

首筋から胸の谷間のぎりぎり手前までにたくさんのキスマークがつけられていた。


「れ、れれ・・・れっどぉーーーー!」


慌てて台所へエリンが行くと、レッドが朝食の用意をしながら笑っている。


「何、何をしたの?
腕の傷に薬を塗っておくっていって、体にいっぱいキスマークがあるんだけど・・・。」


「それは・・・エリンが寝てしまってる間に、俺の欲望がどんどん大きくなってしまって」


「私を犯したの・・・?さ、さいってーーーーっ!」


「犯せなかったからどっさりキスしただけだろ!」


「レッド・・・。」


「どうした?エリン・・・急に黙り込んで。
怒らないのか?
ごめん、悲しいのか?

悪い、俺、誰かに連絡してここに来てもらうから。」


「ちがうの。」


「えっ?」


「私ずっと、レッドにこうしてつらいめにばかりあわせてきたんだなって思って。
仕事のことと、自分のことでいっぱいで、レッドの気持ちや社員の気持ちにもなってなかったと思ったの。

ここまでされなきゃ、わかんないバカだったんだと思って。」


「エリン、君はバカじゃないよ。
君の考えたデザインは飛ぶように売れてるし、会社経営だってうまくいってる。
ガオンティルだってドネリティに統合されたおかげで、社員の給料はあがったといってみんな喜んでる。

俺だってラングだって、君のそばに引っ張ってもらって毎日が充実してる。
君の経営能力のおかげだって。」


「でも、私は恨まれたり、利用されたり、誘拐もされて・・・実際は会社のために役だってないわ。
そのうえ、ずっと私を助けてくれたレッドに悲しい思いをずっとさせてしまって・・・。」


「なぁ・・・もし、俺に悲しい思いをさせて悪かったとまだ思ってくれてるなら、頼んでもいいか?
君が今すぐほしいって言ったらきいてくれるか?」


「えっ・・・え・・・それは・・・うん。
朝ごはんとシャワーを終えてからなら。」


「やったっ!うぉぉおおお、さっ、朝食しよっ!」


「もう・・・レッドったら・・・。」